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2018年9月28日 / 09:38 / 2時間前更新
アングル:高齢者主人公の漫画に脚光、80代の恋愛も リアルな姿に共感
[東京 28日 ロイター] - 漫画が文化の1つとして認められ、国際的にも高い評価を得ている日本で今、最も新しいジャンルに注目が集まっている。高齢者を主人公にした漫画、それも、かわいそうな弱いお年寄りではなく、生き生きと人生を謳歌(おうか)し、冒険にさえ挑む高齢者を描いた作品だ。
日本社会の高齢化が進むにつれ、こうした漫画の需要が高まっている。主人公と同年代の読者だけでなく、将来の自分の姿と重ねあわせようとする比較的若い人たちにも、その人気は広がっている。
学習院大学法学部の遠藤薫教授(社会学)は、高齢化が進む日本社会では「若者中心の社会とは異なる新しい社会的問題や個人の悩みが、大きく浮かび上がってきている。そんな高齢社会のリアリティを描く漫画が、作者からも読者からも求められている」と話す。
しかも、現在60代以上の年代は「子どものころから漫画に親しみ、青年期に漫画の市民権を拡大した漫画フロンティアの世代。自分たち自身の表現として、漫画というメディアはぴったりとしていると感じられているのだろう」という。
『傘寿(さんじゅ)まり子』は80歳の主人公、作家の幸田まり子が、4世代が同居する窮屈な家を出て、一人暮らしを始めるストーリー。ネットカフェに泊まったり、昔あこがれていた男性と再会し、恋に落ちたりもする。
作者のおざわゆき氏は「私が想定していたのは、何かを切り開いていくようなおばあちゃん。元気があって、問題を何とか自分なりに解決していくようなおばあちゃんを描きたかった」という。
そして、漫画の役割について「ニュースを見ていると、年を取ることに暗い話題ばかりが多くて、みんなこれからどうなるんだろうなという不安を持っている」。こういう人たちや「独身で過ごしている人で、今後、家庭を持たないかもしれないと思っている人たちが、1人で生きることを、もやもやと考えるときに、まり子を読んで一筋の光が見えた、私もこんなふうに生きたいと言ってくれる。そこでちょっと気持ちが軽くなる、そういう存在のマンガになっているのではないか」との見方を示した。
<より身近な存在>
これまで、漫画はスポーツ、料理から歴史、戦争まであらゆる題材を扱ってきた。しかし、高齢者はその中では脇役で、愛されるおばあちゃんや介護が必要な老人、あるいは尊敬される人物として描かれてきた。
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